プロローグ

2/2
118人が本棚に入れています
本棚に追加
/199ページ
「俺、好きな子ができたんだ!」 そう言ってあの子ははしゃぎながらアタシに駆け寄ってきた。 「俺、ついにあの子と付き合えることになったんだ!」 アタシがあんなに嬉しそうなあの子の顔を見るのは初めてだった。 恐らく初めてできた彼女なんだろう……。 すごく初々しい。 アタシにもあんな頃があったな……。 夕食の後片付けをしていたアタシに報告にきたあの子の顔を今でもはっきりと覚えている。 それがあんな事になるなんて、この時は夢にも思わなかった……。 この時アタシはまだ知らなかったんだ。 あの子があんな都市伝説を信じていたなんて…… “山ピーの魔法の言葉”……。 それは渋谷に伝わる都市伝説の一つ……。 その言葉を口にしただけでどんな女でも落とすことができるという……。 多くの男達がその言葉を求め、そして散っていった。 “山ピーの魔法の言葉”を口にすればどんな女でもモノにすることができるという……。 しかし、そのカップルは必ず不幸になるという……。 それが渋谷に伝わる都市伝説“山ピーの魔法の言葉”だった……。 【続く】
/199ページ

最初のコメントを投稿しよう!