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三島が死んで、七瀬が支配者になった。自分の擁護と罪悪感に板挟みの支配者なんて、とても愚かだ。三島のように傍若無人に振る舞えば、どんなに楽になることか。
一方の伊崎と雛川はベッドの隅で怯え、田中は床に蹲って痛みと恐怖に震えている。怯えるくらいなら、楯突かなければいいのに。
会話はない。妙に張り詰めた空気が重苦しい。
……笑えるほどに。
聞こえるのは田中と七瀬の呟く声くらいか。
「……死にたくない……痛い……指…指…指…。」
縛られていたお陰か血は止まっているようだが、紫に変色した手がその締め付けの強さを物語っている。止まったのなら早くほどけばいいものを。そう思いながらも言葉にする事はない。
ただ、悪戯に希望を囁いてやるだけ。
「……早ければ明日、遅くても明後日には救助隊がくるんじゃないか?」
僕の言葉に確証なんてない。ただそう思ったから言ってみただけ。それでも助かりたい一心でしがみついてくる様は、どうにも面白いのだ。
「ほ、本当か?あぁ…、でも、そうだよな、帰って来てないって分かれば、ちゃんと警察とかに、電話、し、してるよな?してるよな?」
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