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言葉の途中、右手に握られた斧が頭上に振り上げられる。
「はぁあ~?お前も死ねよぉ~!!」
本当に殺す気だ!!
七瀬の横へ転がるように、斧を避ける。
重力に従って振り下ろされた斧は、僕がいた場所、三島の腹の辺りをまっぷたつに切断した。
「やだ、カズ君、カズ君!!」
「てめぇはまた……何やってんだよ七瀬ぇ!!」
雛川が悲鳴を上げ、伊崎が背中に体当たりする。
力が入っていなかったのか、手で身体を支えようともせずに七瀬はそのまま倒れこんだ。
ベッドの角でどこか打ったのだろう、がつん、とすごい音がした。
伊崎は動かなくなった七瀬に満足したのか、再びベッドに戻っていく。
助かったことへの安堵感からため息をつく僕の傍で、すすり泣く声が聞こえた。
「カズ君……カズ君……。」
赤く泣き腫らした目で三島の死体を見つめ、顔も腹もぐちゃぐちゃになったそれを揺する雛川がいた。
まるで、寝坊した恋人を起こすようなそれだった。
もう、何もかもがおかしかった。
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