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消え入りそうな声で雛川が言った。
僕と伊崎は目を見合わせる。
「カズ君、死んでないよ……、寝てるだけだよ……。今日も、寒かったから、動けないだけだよ。」
虚ろな表情で、雛川が笑った。
きっと、色々なことがありすぎて錯乱しているのだろう。
「ねぇカズ君、そろそろ起きないと駄目だよ。おなかすいたでしょ?」
僕たちが見守るなか、雛川はいつまでも三島に話しかけていた。
僕は伊崎のベッドに移動する。
「ねぇ、伊崎。これからどうするつもり?」
救助はくるのか?
目を覚ました七瀬をどうするか?
雛川は、田中は、そして僕と伊崎はどうなるのか。
「どうって……、とりあえず、七瀬をどうにかしないとだろ。」
伊崎は僕が隣に座ったことに不快感を見せはしなかった。
大きくため息をついて当面の問題である七瀬の処遇に悩んでいるようだった。
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