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「幸喜!やめろ、死ぬぞ!」
「一ノ瀬!」
みんなの叫び声が交錯する。
七瀬や三島たちが一ノ瀬を止めようとするが、それさえ振りほどく。
普段の一ノ瀬からは考えられないほどの力だ。
「何でだ…全部脱いだのにまだ暑い…」
どうすることも出来ずに立ち尽くす三島たちと、あまりの出来事に怯える雛川たちを尻目に、一ノ瀬は焦点の合わない目で、ふらふらと歩きだし、遠退いていく。
「幸喜!幸喜、待ちなって!」
無言で見ているしかなかった僕らの沈黙を破ったのは、桜井だった。
遠退いていく一ノ瀬に追い縋るように駆け出す。
「馬鹿!駄目だ!」
あまりの事に動けず、ただ見ているしか出来なかった僕たち。
そんななか、誰かの手が、桜井の腕を掴んだ。
はっとして見ると、伊崎だった。
桜井がキッと睨み付ける。
「止めないでよ!幸喜が、幸喜が…!」
「あいつはもう駄目だ!桜井も見ただろ!?あいつ、イカレちまってる!それに、桜井まで死んじまう!」
必死に説得しようとする伊崎
。
手を振りほどこうと抵抗する桜井。
だが、二人が揉めている間に、一ノ瀬は雪に消えた。
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