950人が本棚に入れています
本棚に追加
「いやああああ! ヨーゼフ――――ッ!!」
背後で見ていたミランダの悲痛な悲鳴が庭に響き渡りました。
「へへーん♪ なかなかの推理だったけどまだまだね。空薬莢はポケットに入れたんだよ!」
茶髪のメイドが、私に対して得意気に言い放ちます。
なるほど、そんな方法で証拠隠滅を図るとは……やりますわね。
……ですが、まだまだ甘いでございます。
「ふふっ。作戦通りですわ。」
勝利を確信した私の表情に、メイドの顔色がみるみる変わります。
「作戦通りってどういう事!?」
「分かりませんの? 貴女が今ヨーゼフに放った銃弾で、また貴女の弾薬は尽きたのでございますよ? まんまと引っ掛かってくれましたわね。戦いの大局も見ずに、小者に最後の銃弾を使うとは、笑いが止まりませんわ」
「ああ! し、しまったぁ~!!」
うなだれるメイドに、私は静かに愛銃を向けました。
「なかなかに高度な心理戦、楽しませて貰いましたが、ここまでのようでございますわね」
そこで私は、ミランダに目を向けます。
最愛の恋人を失い、涙するミランダ。
このような非道な真似をしたこの女を許すわけにはいきませんわ。
「あのミランダの涙に誓って、貴女は許すわけにはいきません。さあ、終わりに致しましょう」
冥府へと向かう一輪の花に、私の美しき声が最後の灌水をし、ゆっくりと引金を――
「待って!!」
突然に放たれた声と共に、メイドが自らのメイド服を大きく開きます。
その裏地には、大量のダイナマイトが装着されてございました。
最初のコメントを投稿しよう!