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「ん――っ! 今日も良い朝でございますわ」
いつもの時間に目を覚まし、私は大きく伸びを致しました。
窓からはいつもと同じように柔らかな日差しが入り込み、寝起きの瞼をくすぐってございます。
「おっと。今日は誰も侵入しておりませんわね」
ふと、前回闖入してきた旦那様を思い出し、寝相ではだけた寝間着を慌てて整えます。
私、どうしても寝相の悪さが直らないのでございますよ。
目覚めたら枕を足蹴にしていた事さえございます。
全く、パーフェクトな私の唯一の欠点でございますわ。
私に相応しい殿方が現れるまでには、何とか直さなくてはなりませんわね。
さて、周りを確認した私は、妙なことに気づきました。
普段綺麗にしまわれている筈の私の衣類が、クローゼットの外に散らばっているのです。
良く良く見ると、クローゼットは小刻みに揺れていて、中からは荒い息づかいが聞こえます。
私は無言で引き出しからキャリコM900を取り出し、クローゼットに向かって歩きます。
クローゼットに近づくにつれ、朧気にしか聞こえなかった中の声が、次第にはっきりとした言葉に変わっていきました。
「……冥土きゅんのぱん……ぱんちゅ……はあはあ」
ああ、なんでございましょう。
私の耳に入り込む、この不愉快極まりない呪詛は。
私は、この美しく壮麗な顔を大きく歪ませ、キャリコを構えました。
――ばららららららっ!!
クローゼットに次々と穴が開き、隙間から鮮血が滴ります。
やがて開いたドアから転げ落ちたのは、私の清楚たる下着に鼻を押しつける、血塗れのウンピエール豚野郎。
はあ……。全く、朝からゴミ処理をしなければならなくなりましたわ。
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