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「なるほど、ではメイドと執事、どちらが奥様をより満足させられるか、勝負しませんか?」
セバスチャンが精一杯虚勢を張って、不敵な笑みを浮かべながらほざきます。
「あらあら。旦那様では無く奥様を選択する辺り、姑息ですわねえセバスチャン。その思考から既に負けてらっしゃるんじゃなくて?」
私の華麗な挑発に、セバスチャンはグッと言葉を詰まらせますが、すぐに体裁を整え、私に返してきたのでございます。
「本日旦那様はいらっしゃいませんし、奥様は男子も女子もお好きな方。なんら不公平は無いと存じますが?」
ちっ。筋が通ってやがりますわね。
仕方ありませんわね。
「それもそうでございますわね。ならば奥様で勝負致しましょう。負けた方には勿論罰を受けてもらうのでございますわよね?」
「罰? ほう、例えばどのような?」
興味津々な様子のセバスチャンに、私はこの聡明な頭脳が導き出した素晴らしい罰を言い放ったのでございます。
「負けた方は、明日から厨房で着色料赤5号として使われるということでよろしいかしら?」
「いいわけないよ! どうして君はそうやって何でもかんでも猟奇的な方向に持っていこうとするんだ!」
あらあら、セバスチャンたら昔の口調が戻ってしまってますわね。
この程度の気の揺らぎで気品を失うなんて、執事失格でございますわよ。
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