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「まあ良いですわ。罰は後ほど考えるとして、勝負の方法はどうしますの? 満足させるといって、まさか変な事を考えているんじゃございませんわよね? 射殺しますわよ?」
「ま、まあ落ち着いて下さい。奥様は紅茶がお好きでいらっしゃいます。執事側とメイド側で三名ずつ代表を出しあって紅茶対決というのはいかがでしょう?」
なんとか平静を取り戻したセバスチャンの提案に、私は頷きました。
何を隠そう、奥様は紅茶にはとてもうるさい方でございます。
この前も、黄泉が紅茶と間違えて胡麻麦茶を出してぶっとばされてございました。
奥様がそれほどまでにこだわってございます紅茶。
それで対決するのでしたら、何も文句などあろうはずがございません。
「では今日のお茶の時間、キッチンにて勝負致しましょう」
「望むところですわ。せいぜい遺言でも書いて待っているがよろしいでございますわ」
「いや、着色料にはなりませんからね!」
無様に捨て台詞を残し、セバスチャンが去りました。
それを見送り、私は思案を巡らせます。
勝負は良いのですが、団体戦となると多少きついですわね。
本日、自由に動けるメイドは、私と黄泉、そして桜子のみでございます。
私は問題ありませんが、黄泉には全く期待できません。
そうなると、あとは桜子ですが……。
「桜子さん? あなた、紅茶くらいは淹れられるのでございますわよね?」
私は、横で空気になっていた桜子に問いかけます。
「紅茶? あははっ! 任せて下さいよ!」
おや、案外自信があるようですわね。これなら大丈夫でしょうか。
「一発でトリップしちゃうっていう、いいクスリがあるんですよ。この機会に試してみます。くふふ……」
あいたたた、やっぱ駄目そうでございますわ。
これは先が思いやられますわね……。
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