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「冥土さーん。流してきました。詰まりそうだったんで、ちょっと薬品使っちゃいましたけど、テへッ☆」
「ご苦労様。さ、貴女の紅茶を奥様にご馳走して差し上げなさい?」
深い話は敢えて聞かずに、私は桜子に指示を出しました。
マッスルの紅茶は、もはや汚物。ここで桜子が、普通の紅茶を出せばこちらの一勝でございます。
そうなれば、こちらが大きく有利になりますわ。
「さ、奥様。召し上がれ」
桜子が、彼女にしては丁寧な所作で奥様の前へ紅茶を置き、一礼します。
「ありがとう。頂くわ」
奥様は、天使のような悪魔の笑顔を桜子に向け、紅茶に口をつけました。
「……美味しい! 美味しいわこれ! おかわりをお願い!」
「あいあいさ♪」
奥様の注文に応じて、紅茶を注ぐ桜子。
それにしても、紅茶に厳しい奥様がおかわりなんて珍しいですわね。
ああ見えて、桜子は相当腕が立つようですわ。私も負けていられませんわね。
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