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さて、私はあのウンピエールダンディを、真っ赤に染まった窓から広々とした蒼穹に投げ飛ば……もとい、飛び立たせた後、食堂に向かいました。
あ、先程言い忘れましたね。
旦那様のお部屋は三階に、食堂は一階にございます。
「あら冥土さん、先に頂いてるわよ」
食堂に入ると、優雅なお手付きで前菜のサラダを食す奥様の姿。
先程のブラッディプールは他のメイドが掃除したようですわね。
でも残念。
掃除に使ったモップが置きっぱなしになっています。
血を拭いたモップは、何本もの真っ赤な繊維を垂らしています。
ちなみに今日の朝食はナポリタンでございます。
雨宮家のメイドとして、これはいけません。
後で良く言い聞かせて置かなくては。
「そう言えば、庭で大変な事が起きたそうよ?」
ふと、発せられた奥様の言葉。
その言葉に、私は静かに返したのでございます。
「大変な事とはなんでございますか?」
「空から黄英が降ってきて、庭師のヨーゼフが下敷きになったとか……」
ああ、なるほど。
旦那様は、所詮飛べない豚野郎でございましたか。
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