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「いたた……。酷いじゃないか冥土君。発砲後に三階から投げ落とすなんて、流石の私でも即死だったよ」
「申し訳ありません、豚……もとい旦那様」
そんな話をしている内に、旦那様が腰を抑えて食堂に入ってきます。
私が咄嗟に言い繕ったにも関わらず、旦那様は私の失言を聞き漏らさなかったようで、不快感を露にした表情を浮かべます。
「豚とはなんだい。確かに私は最近胸や腹に肉がついてきたが、豚とは心外だねえ」
「身体的な事ではございません。旦那様の内面を見て豚野郎だと言っているのです」
私がピシャリと言い放つと、旦那様が少し俯いたように見えます。
あ、確かに今のは失言でした。
紛れもない事実とはいえ、本人に直接言うのは避けるべきでございましたね。
まあ紛れもない事実なんでございますけどね。
大事なので二回言いました。
ともあれ、旦那様を悲しい気持ちにしてしまうなど、メイドとして失格です。
ここはきちんとお詫びしてフォローをしなくてはなりませんね。
そう思い、私は俯く旦那様の側へ寄り、その肩に手を置いたのでございます。
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