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じっと見つめたまま先輩が何か言ってくれるまで待ってみた。
すると先輩が大儀そうに口を開いた。
大「……わかった」
茜「え?」
聞き取れなかったわけじゃない……
大「やってやるって言ってんの」
ただ、信じられなくて。
もう一度聞きたかったの。
うれしい言葉を…
少し不機嫌そうに、仕方がない顔して、持ってこい、って部屋に消えていった。
一瞬固まったものの、すぐにベッドの側に放り投げられていたカバンから教科書・ノート・ペンケースをひっつかんで窓から身を乗り出した。
そして間隔10㎝ほど離れた先輩の部屋のベランダに降り立った。
これがあたしが初めて先輩の領域に踏み込んだ瞬間だった。
目の前にあっても越えることがなかった場所だったけど、今からはきっと、共有できる場所になるんだよね。
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