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「あ、来た」
家のチャイムが鳴ったのと同時に、二人で玄関に向かう。
「こんばんは」
そう言って、私に挨拶してくれた、母の大事な人は。
予想していたよりも恰幅が良かったけど、優しそうな面持ちで。
隣に居る母は、益々笑顔になっていた。
「はじめまして」
挨拶すると、私に握手なんかを求めてきた。
その行動に、少しの気恥ずかしさと共に応えると。
ニコッと笑って、大きくてあったかい両手で、私の手を包んでくれた。
緊張していた私も、自然と笑顔になった。
「美沢ちゃん、アイスクリーム屋さんで働いてるんだって?」
その一言を皮切りに、母が作ってくれた煮物を食べながら、三人でのお喋りが弾んだ。
私が一つ話すと、母がちょっかいを入れて来たり。
それに私が怒ったりするやり取りを見て、笑いが零れる。
母の大事な人は、一人暮らしの私の体調を気遣ってくれたり、田舎と違って何があるか分からないんだから用心深くね、と、心配してくれた。
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