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「美沢は、平気なの?」 そう聞かれ、私は出来る限りの笑顔で、 「平気だよ」 と言うしか出来ず。 何か言いたげだったけど。 私が、あまりにも真っ直ぐに亜以子チャンを見るからか。 亜以子チャンは、ただ一言。 『分かった』 と言っただけで、それ以上、突っ込む事はしないでくれた。 逆にこういう時は、突っ込んでくれた方が、馬鹿みたいに大泣き出来て、楽なのかもしれない、なんて。 私は、亜以子チャンの背中を見ながら、自分勝手な事を思う。 余計な事を考えながらコーンを並べていると、手元が狂って崩してしまい。 「……平気じゃないじゃん」 と、背後から聞こえたが。 私は、聞こえないフリをして、又、コーンを並べ直した。
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