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目が覚めると、いつもより少しだけ寝起きが良くて。 母に会える事が、私の気分を高めた。 昨夜、亜以子チャンとの会話で休みを貰える事になり、私はその場で母に電話をした。 善は急げ、だ。 母には、 『アンタはいっつも急に言うんだから』 なんて少しだけ怒られたが、すぐに笑って、 『気を付けて帰って来なさいね、母さんご飯作って待ってるから』 と言って、電話を切った。 ――――…… 電車に乗ると、夏休みなのに案外空いていて。 私ついてるかも、なんて、それも少しだけ気分を良くした。 清々しい景色が徐々に広がり。 喧騒なんて似合わない、緑や向日葵畑が広がる。 水田には稲が青々と生え、水面が太陽の光でキラキラと眩しい。 そんな景色が、私の口元を緩める。
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