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母が帰って来てからは、違う話題になり。 “私が居ない間、どんな事話してたの?”と聞かれても、内緒だよー、と二人で笑った。 たくさんの会話の後、それじゃ僕はそろそろ、と彼は言って、帰宅の準備を始めた。 私と母は、“父”を玄関先まで見送り、 「これからも、宜しくお願いします」 と、私から笑顔で告げた。 すると。 『僕も彼女に告白する時、怖くて何度も逃げようかと思ったよ』 と、こそっと教えてくれた言葉に、私は笑った。 “父”が帰り、二人で後片付けをして、一段落して。 母が、私の布団を敷いてくれた。 「遅いし、今日は気疲れしたんじゃない? もうゆっくり休みなさい」 母の言葉に頷き、私は、寝る準備を始めた。 「ねぇ、お母さん?」 私は話し掛けると、干してあった洗濯物を畳みながら、母は振り向く。 「素敵な人と出会ってくれて、ありがとうね」 私の言葉に少し驚いたようだったが。 母は満面の笑みで、“ありがとう”と、私に言った。
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