多情

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何で…… 何で直太じゃなくちゃ、いけなかったの……? 直太、何か悪い事でもした? ねぇ、神様……神様…… 電源を切った携帯電話を握り締めている手は、汗ばんで。 少しだけ、小刻みに震えていた。 この列車に揺られている時間が凄く長く感じて。 額にも、玉のような汗が滲んで。 拭いても拭いても、流れ出た。 駅に着くまで数回、えづいてしまった自分が、情けなかった。  
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