多情

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ねぇ、神様。 私、今日。 直太に会おうと思っていたんです。 もし、直太が私に会いたくないって言っても。 無理矢理、直太んちのドアこじ開けてでも。 直太に会おうと思っていたんです。 会って、直太に。 私の思ってる事、言おうと思っていたんです。 聞きたくないって、直太が耳を塞がないように。 直太の両耳引っ張ってでも、言おうと思っていたんです。 なのに、何で、そういう事、するの? 意地悪、しないで下さい。 もう、隠したりしないから。 嘘、言ったりしないから。 二つだけ。 たった二つだけの、お願いがあります。 辛いのは、私だけにして下さい。 直太には、笑顔でいさせてください。 お願いですから、神様。 ――もし、あなたが存在するならば。  
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