多情

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駅に降り、すぐさま亜以子チャンに電話をした。 どこの病院に居るのか。 病室は何号室なのか。 直太の具合はどうなのか。 亜以子チャンも、詳しくは聞いていないと言う。 何の情報もない状態で、どうする事も出来ないと落胆すると、 「木田さんなら分かるはずだから、メールで木田さんの携帯番号教える」 と言われ、そうして貰う事にした。 私は重たい荷物を抱えながら、駅から程近い、私たちが住むマンションに急ぎ足で向かった。 直太……。 どうか、どうか。 無事で、居て……。 いつ鳴るか分からない携帯を大事に握り締め。 私はマンションのエレベーターに乗り込み、4Fの文字を何度も連打した。 自分の部屋に入ると。 何だか蒸し暑さが充満していたので、荷物を掴んだまま、ベランダの窓を開けた。 入ってくる風を浴びると、幾分か気持ちが静まった。 と、同時にメールの着信音が鳴り、受信メールを開くと、 “これが木田さんの番号ね” と一言添えて、電話番号が書かれていた。 改めて、木田さんという言葉を見ると少しだけ躊躇したが、そんな事は言っていられない。 すぐさま私の手は、木田さんの番号を押していた。
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