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いよいよ、まったくもって知らない母屋にたどり着き、格子戸を開けた。
奥からパタパタと歩く音がして、今どきありえないような着物姿の若い女性が顔を出した。
僕の口が何かを喋ったらしい、それを聞いた彼女はポロポロと涙を流し…僕の頬にそっと触れた。
感触は無いが、僕も涙を流しているらしかった。
やがて、2人は互いの額を合わせて瞳を閉じる。
遠く遠く、蝉の声が聞こえていた。
…思えばこれは誰かの記憶かも知れなかった。
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