夏の庵

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リン…リン…と風鈴がなっていた。 微かだった蝉の声が徐々に大きくなっていく。 やがて体だけをそこに残して、グングンと戻っていった。 止まっていたかったのに…どうやら逆らいようもないらしかった。 気づけば、街並みが元に戻り、僕はぼんやり立っていた。 しばらく心に残った余韻を眼を閉じて確かめようとしたが、上手くはいかなかった。 それでもしばらくは動く気になれず、しばらく見慣れた景色を見るともなく見ていると、向こう岸の道路に何かの塊を見つけた。 どうやら何かの動物らしい事が分かった。 何故か目を離す事が出来ず、静かに立っていた。 蝉がまた近くでなき、すぐやんだ。
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