旅路

2/2
前へ
/18ページ
次へ
私が一歩を出す。   その間に、あなたは二歩進む。   私はゆっくりと、あなたはその小さな足をパタパタと急ぎ回して、お互いに同じ道を歩もうと合わせる。   一生懸命に追い掛けるあなたは、いつか私の前に立ち、私の手をひいて歩き出すのだろう。   私とあなたは、まるで旅をするように幾年もの時間を歩き、思い出を刻んでいく。   長い長い旅の中で、あなたの歩幅はだんだんと大きくなって、いつか私を抜かしてしまう時がくるのだろう。   まだ始まったばかりのあなたの旅を、私はいつまで一緒に歩いて行けるのだろうか。   繋いだ手に優しく力を込めて、離れないように、あなたと共に歩く。   私は一歩、あなたは二歩。   「ママ、抱っこ」   疲れて手を伸ばすあなたを胸に寄せ、しっかりと抱き締める。 「ねぇ?ママを置いて行かないでね?」   あなたと私の旅は、まだ始まったばかりなのだから。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加