第一章~蜀漢疲弊す~

3/10
前へ
/17ページ
次へ
度々の外征をする姜維に対し、政務を統べる諸葛瞻〈ショカツセン〉ら荊州人士は、彼から兵権を奪おうと画策し、度々北伐に反対意見を出した。 一方で、益州人士の張翼<チョウヨク>や譙周も北伐には反対で、度々意見を出していた。 こうした各派閥の駆け引きの中、宦官の黄皓は、目を光らせていた重臣の董允〈トウイン〉が亡くなると、次第に政治に介入して専権を振るうようになり、陳祗〈チンシ〉ら彼に逆らわない人物が出世をしていった。 姜維は宮中の乱れの元である黄皓を排除しようとしたが、黄晧に助けを求められた皇帝・劉禅に仲介されて果たせず、争いに巻き込まれることを恐れた彼は、前線の沓中〈トウチュウ〉で屯田(兵士自らが耕作し、有事には軍隊化すること)して、成都には戻ることはなかった。 これらが原因で蜀内部は弱体化し、国力は低下して存亡の危機に至っている。 ここに魏が一大攻勢を仕掛けたらどうなるか。 姜維は常に心配しながら、前線魏の様子を探り続けたのである…
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

689人が本棚に入れています
本棚に追加