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…蜀の景耀〈ケイヨウ〉6年(西暦263年)、そんなある日、姜維のもとに驚くべき一報がもたらされる。
それまで対蜀漢戦線にいた魏の名将・鄧艾に加えて、智将として名の知れた鐘会〈ショウカイ〉が蜀侵攻計画を練っていると言うのである。
姜維は思わず息をのんだ。
「これはいかん。すぐに成都に知らせねば…」
すでに亡くなったが、魏から亡命して姜維の片腕として活躍した夏侯覇〈カコウハ〉が、生前に恐れていた魏の人物として挙げた名が、その鐘会だった。
今まさに、その人物が攻めてこようとしているのだ。
姜維の北伐を度々防いだ鄧艾だけでも手強いのに、鐘会まで来たら姜維の軍だけでは対応する事が出来なくなる。
彼はすぐに左右の車騎将軍〈シャキショウグン〉である張翼〈チョウヨク〉と廖化〈リョウカ〉を援軍として送り、国境の陰平郡〈インペイグン〉と陽平関〈ヨウヘイカン〉を固めるように要請するために、急使を成都に送ったのだった…
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