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「あー…」 一人の青年が無気力そうに空を仰いでいる。彼の名前は高本悠司。今年で二十歳になったばかりだ。現役の大学生ではあるが、昼間の公園にいるその姿は浪人と言われてもなんら不思議はない。 「はぁ~あ…」 またしても溜息をつく。まるで落ち込んでいるように見えるが、それも当然で事実、悠司は落ち込んでいた。 理由はありふれたもので一年付き合っていた彼女につい最近、振られたのだった。それは― “なんで何事にも突っ込んでいかないのよ!前までの格好良かったユージはどこにいっちゃったの?!―もう、ユージがわからないよ…!” 「んなこと言われてもなあ…」 別れ際の彼女の言葉を思い返しては、一人溜息をついてばかりいる。こうやって考えれば考える程、訳が分からなくなっていく。恋人と別れたらショックなのだろうが、実際は心のどこにショックを受けているのかとか、明らかに現実逃避した考えまでしている始末だった。 ―そんな腑抜けていた時期に、彼はソレと出逢うことになる。
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