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その奇妙なメールが届いたのは夏のこと。 神納捺弥(ジンノナツミ)が小学生の頃に失踪した兄が使っていたパソコンに、最近届いたらしい未読のメールを見つけた。 滅多に触らないパソコンの電源をつけ、それに気が付いたのは偶然。 『リウもうすぐお前に辿り着く首洗って待ってろ』 返信をしたことは、運命だったのかもしれない。 『兄を知っているんですか?』 直ぐに返事が来た。 『明日カフェ・ヴィタリーで待つ。薔薇の花束』 「ヴィタリー?」 それは裏通りにある小さな喫茶店で、兄・立埜(リウヤ)がよく行っていた場所だ。 兄を捜して小さな頃から母や父といったことがある。 顔も知らない相手からの呼び出し。 行くかどうかを朝から悩み学校帰りに中を覗いてみると、一番奥の席に尋常で無い赤い薔薇の固まりが見えた。
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