エピローグ

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ー最高裁判所前ー 「あっ、今出てきました。天原灰土死刑囚です。どうやら死刑が執行されるようです」 女性リポーターが刑務所から出てきた男の様子を伝えている。 「天原死刑囚は先月、浦賀切次議員殺害の容疑で逮捕され、一月足らずで死刑を宣告されたいわばスピード判決により、世間を賑わせました。天原死刑囚の様子はうつ向いた感じで表情は読み取れません」 すると男は一台のカメラに向かって笑みを見せた。 「天原死刑囚が今笑いました!えぇ、天原死刑囚が今こちらを向いて笑みを見せました。反省の色はやはり伺えません」 男の周りには沢山のマスコミ、遺影を持っている人は男を罵倒していた。警察官は人をかきわけ男をパトカーへ押し込んだ。 パトカーに集まる群衆の後ろの方で女性の声が聞こえた。 「灰ちゃん!行かないで灰ちゃん!」 女性は警察官に取り押さえられたのか声が消えた。 「今、後ろの方で女性が何かを叫んだようですが、駆け付けた警察官に取り押さえられた模様です。天原死刑囚を乗せたパトカーが今、刑務所に向かい始めました」 レポーターはパトカーが消えた後も、今までの内容を中継していた。
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