1029人が本棚に入れています
本棚に追加
矢崎「その、五郎さんは、どこの出身なんですか?」
俺が尋ねると待っていましたと言わんばかりの表情で、
五郎「俺ぁ、東京のもんだ。」
と言った。
矢崎「え?でもなんでこの電車に?」
五郎「馬鹿か」
また平手で叩かれた。
五郎「出張だよ出張」
ああなるほどと納得した。
五郎「参るぜ。出張先に封筒とこの時計が来たんだぜ……。」
矢崎「五郎さんは本格的に戦争に参加するんですか?」
五郎「いや、俺はただ逃げるだけだ。お前と同じくな。」
矢崎「わかるんですか?」
五郎「なんとなくな。どうだ宏六、俺と一緒に行動しねぇか?こんな39歳のオッサンだがよ。」
出会ってからわずか5分足らずの出来事だった。けど俺は大きく頷いた。
そして17歳と39歳はかたく握手を交わした。
最初のコメントを投稿しよう!