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しかし次に優梨香(中)が発した言葉は、うれしくもありもったいなくもあり、でもやっぱりうれしさを表現すべきことでした。
「あはは。優梨香、起きちゃった」
僕からの謝罪が届いたのか、自力で気持ちの整理がついたのか、優梨香が一日ぶりに目を覚ましたらしいのです。
そこまで行けば、あとはいつも通りです。優梨香(中)は、
「じゃあね。ちょっと惜しかったかな」
と言い残して、糸を切られた操り人形のように、カクンと倒れてきました。
瞬間、僕はいろんな意味でピンチを迎えます。
ピンチその一。
僕の体にまたがったまま倒れてきた優梨香の体は全身の力が抜けきっているため、女の子特有の柔らかいアレとかアレが、むにゅむにゅと僕の体に容赦なく押し付けられるのです。
ピンチその二。
今、優梨香の唇は僕の首筋に触れるか触れないかの場所にあるため温かい吐息がムズがゆくかかり、また、彼女の香りが僕の鼻孔をくすぐり、僕の理性は煩悩との激しい抗争の末、敗北も時間の問題です。
僕は眠っている優梨香を抱きしめてしまいたい――よい子のみんなは、寝込みを襲っちゃダメですよ?――衝動にかられ……、
そして、ピンチその三。
優梨香が目を覚ましました。
みなさん、こういった時の心境を冷静に描写するコツとはいったいなんだと思いますか? 僕はないと思います。
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