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結局、僕は家に帰った後も寝ることなく、トーストを食べて学校へ向かいます。
学校へ到着したのは、始業の二時間前。校門は開いたばかりで、この時間に校舎内にいる生徒はいません。
僕はそんな空っぽの校舎で一人、残っていた執行部の作業を行うのです。
一時間後、生徒がまばらに登校してくるころに、僕は生徒会室へ向かいます。
扉を開けると、ちょうどいいことに薫さんと恵ちゃんだけが来ていました。
「おはよう、ミノくん」
「おはよう、天谷くん」
長久手姉妹は、いつも通りに声をかけてきてくれます。
「薫さん……いえ、会長さん。少し、お話があります」
「?」
二人は首をかしげ、
「話って何?」
薫さん……いえ、会長さんが言いました。そして僕は二人に、生徒会執行部を辞退する旨を告げたのです。
「………………」
それを聞き、表情が固くなったのは恵ちゃんでした。目尻に光る雫が落ちてしまうのを耐えています。
「理由は何かしら? これでも私たちはこの学校を背負って立つ立場なの。納得できる理由がなければ、賛成はできないわ」
会長さんが言いました。
「……すみません、理由は言えません」
僕が答えます。
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