日常の選択

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「ごめんね、恵ちゃん」 ひっく、ひっく、と肩を揺らして泣く恵ちゃんに、僕は頭を下げました。 「それでは、失礼します」 そして僕は部屋を出るのです。 去り際に、 「天谷くん。執行部を辞めたからには、残りの高校生活を絶対に悔いのないように過ごしなさい。 じゃないと、私も恵も、天谷くんのこと絶対に許さないからね」 そう言ってくれる、会長さんの言葉を背中に聞きながら。 この日が五月二日。 ゴールデンウィークに入る前の、最後の平日でした。
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