崩壊

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玲奈たち三人と海に行ってから、特に何事もなく、約三週間が経った。 もう九月に入ったというのに、太陽は真夏のように燦々と輝き、蝉の声も聞こえる。 そんな残暑で暑さが残る中、今日は後期開始の始業式が執り行われた。 「暑い……」 式が夏休み中にあった部活動の表彰に移ったとき、俺は思わずそんな言葉を漏らしてしまう。 桜春学園の全校的なイベントは体育館にて行われるのだが、その体育館にはクーラーなどという時代の発明品は設備されていない。 体育館のドアや窓はすべて開け放たれているものの、今日は風も吹いていないため、館内にはじめじめとした空気が充満していた。
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