崩壊

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「あ、ああ……ありがと。それ洗ってくるよ」 俺は自分の汗が染みこんでしまった玲奈のハンカチを受け取ろうと手を出す。 しかし。 「だーめ。これは、あたしが部屋でクンクンするんだから」 「なぁっ!」 思わず驚きの声をあげてしまい、それに反応した生徒たちの視線がこちらへと集まる。 しまった、と思い、俺は顔を伏せて知らないふりをした。 しかし、この学園で男子は俺一人。 こんな悪あがきをしても、すでにバレてしまっているだろう。 俺は顔を伏せたまま溜め息を一つ吐いた。
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