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街の掲示板には、張り紙がしてあった。
十字架街には、街が出来た時に吸血鬼達と交わされた条約がある。
『第一条 第一項・強引な吸血行為を禁ずる』
条約を破った吸血鬼は、罰せられる。
街では、その噂で持ち切りだった。
勿論、未夜も噂は知っていた。
連日、新聞やニュースなどで、大きくやっている。
「昨日の夜、四人目の犠牲者が出たんだね、お父さん……」
「お父さんの役所でも今、襲った吸血鬼を捜しているよ。吸血鬼ハンター達も必死に追っているけど、なかなか捕まらないらしい」
『吸血鬼ハンター』とは、血に飢え、法を犯した吸血鬼を狩る人間。
犠牲者の人の話では、血を吸われた事に関して、全く記憶に無いらしい。
目が覚ましたら、病院のベットの上だったと。
世の中には、綺蕾達──闇血みたいに良い吸血鬼達だけじゃない。
血に飢え、吸血鬼の本能に従って、人を襲う者が居るのも事実である。
「早く、捕まると良いね」
「そうだね……」
──数日後、それは濃い霧が立ち込める日だった。
その日も役所では、今まだ捕まらない吸血鬼を捜していた。
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