春風舞うあの頃に+。

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    季節は春。 並木道に植えられた桜の木が満開になった頃。 桜の並木道と原っぱ以外周りに何も丘の上。 その頂(いただき)に古ぼけた洋館がひっそりと佇んでいた。 どうやら洋館の住人は引っ越すのであろう、桜の並木道を通って荷物を運び出す作業員の姿がある。 そして桜の並木道の始まりの場所に小さな二人の女の子と一人の男の子が居た。 すると一人の男の子が二人に話しかけるように言う。 「綾ちゃん、澪ちゃん。 なんで泣いているの? ちょっと居なくなるだけだよ!! ……また会えるからっ!!」 泣いている二人の女の子を慰めている様子で男の子は洋館の住人の一人のようだった。 男の子は今日どこかに引っ越す。 それで二人の女の子に別れを惜しまれている。 すると澪ちゃんと呼ばれた黒い長い髪の女の子が泣きながら返事をする。 「別に、な、泣いてなんかいないんだからねっ……ただの汗なんだから……だから早く会いに来なさいよっ!!」 もう一人の長い茶色の髪の綾ちゃんと呼ばれた女の子も泣きながら返事を返す。 「……また会えるよね?」 「また会える、約束するよ!!」 男の子は二人を不安にさせないように元気良く返事をした。 そして引っ越しの作業も終わりになり、もう行く時間になり母親らしき人が男の子を呼ぶ。 「雪ー!早く行くわよ!!」 男の子は雪と呼ばれ、雪も母親に分かったと返事をして、もう一度二人の方を向く。 「じゃもう行く…ね?」 雪は綾と澪と別れ、母親の所に行こうとすると…二人が声を合わせて、叫ぶ。 「「また会った時に……」」    
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