2101人が本棚に入れています
本棚に追加
キーを回してエンジンをかけると、私は急ぐようにアクセルを踏み込んで駐車場からはい上がり、車は車道に飛び出していくと、
「待ってて!美夜!!!」
と涙ぐみながら言って、やがて少し坂道になっているカーブになったが、構わずに勢いよくハンドルを切った。
その時、ブレーキを踏んだのに足に何の感触もなく、私はハッと息を飲んだ。
「ブレーキが……!?」
頭の中が真っ白になった。
何も聞こえなくて、周りの景色がスローモーションのように私の目に映っている。
カーブを曲がり切れずにガードレールに車体ごと体当たりをして、やがてそばを並行して走っていた車が慌てて急ブレーキをかけると、反対車線に飛び込んでいった。
すると、その反対車線を走っていたトラックがよけようとして、ハンドルをまわして車線を飛び出してくると私の方に向かって、やがて横転して転がってきた。
その時、私には分かってしまった。
守留が、私を殺そうと計画したんだ、と。
最初のコメントを投稿しよう!