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「みんなに聞いてもらいたい事があるんだ、手を休めてくれるか?」
仕事の終わり際に部長が話し始めた。
「毎年恒例だが、親睦会をかねて旅行に行く。日時が決まったら社内通達を出しておくので目を通すように」
えっ?!旅行!!
今私が旅行なんか行ったら、死んでしまう。
「華菜ちゃん楽しみだね」
羽月さんがにこにこ顔で私に言った。
「あの…これって絶対行かなくてはいけないんですか?」
「いや、自由参加」
「ホッ良かった」
「まぁでも、新人さんは行かなくちゃねぇ。最初だから」
「えぇ!そんなぁ…」
「部長も言ってたでしょ、親睦会をかねてって」
うぅ…やっぱ行かなきゃいけなくなっちゃうのかぁ。
「大丈夫だよ、華菜ちゃん。オレがついてるから」
「それが一番心配なんです」
先が思いやられる…。
仕事を終えて、この日も羽月さんは会社の外で待っていた。
最近はずっとこうして、私を家の近くまで送ってくれている。
「もうこんなことしてくれなくて、結構ですから」
「女の子の一人歩きは危険でしょ」
「でも、ほんと大丈夫ですから」
そのとき私の携帯に着信があった。
親友の美花だった。
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