アイ ニード ザ サン

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―――バサバサバサッ! 目の前に広げられたバッグの中身。 出てきたのは書類らしき綴りやら、iPod、折りたたみ傘なんかもごとっ、て最後に落ちてった。 オッサンは悲鳴みたいな声を上げながら顔面蒼白でそれを拾い上げる。 「けっ…警察っっ!!おまえぇっ!!警察呼べぇっっ!!!」 ぶちまけたモンを抱えながら”かめなし”に叫び散らした。 いや別にいーけどね? 俺は困らねえし。 っつーか、テメーが”かめなし”に指図してんじゃねえよ!! 「捕まんのはお前だけどなア!!」 力いっぱい胸ぐらに掴みかかって怒鳴りつけると、オッサンは俺の腕を必死に振り払いながら大声をあげた。 「う、うるさいうるさいっっ!!ふざけるなあぁっ!!!」 ポトッ、てカウンターから転がり落ちたふたつのおにぎりを”かめなし”が拾う。 「こ、れ――‥…」 オッサンは血走らせた目で”かめなし”を睨むと、俺からビジネスバッグを抜き打つように取り上げた。 「‥ざけなんな、お前っ―――!!」 物凄い早さで走りだしたオッサンを追い掛けようとしたとき”かめなし”に腕を掴まれた。 「??! おまっ‥逃げられんぞ!!」 「‥お前、何でわかったんだよ」 はっ?!今そこかよ!? 「お前がまえの客のレジやってたときからアイツ怪しかったの!!!」 ~~っあぁあ!!! も、ぜってえ無理!! 逃げられたしっ!!!! 「あいつ、どこ立ってた‥?」 眉間にシワ寄せて、思い詰めたように”かめなし”が聞いてくる。 …もしかして自分が気付けなかったから、とか責任感じてんのかな。 「そこの端の棚だけど‥ちょうどお前からは見えづらい、かも」 俺もつられて苦い顔になりながら、親指で棚を指した。 ”かめなし”はカウンターからゆっくりと俺の指す方に目を配すと、 「‥…そっか。サンキュ。」 って、力なく言った。 ”かめなし”の立つカウンターから見て左側に位置する棚。 それをしばらくじっと見つめて、何かを理解したかのように静かに目を伏せた。 「…悪かったな、手間かけさせて。もう、大丈夫だから」 俺の方を見ないまま”かめなし”はそう言うと、カウンターに散らかった商品を淡々と片付けはじめた。 .
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