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街灯が夜道を照らしだしたころ、目の前の道路を過ぎていく車をぼんやり眺めてた。
コンビニ前の駐車場の車輪止めに座って”かめなし”いわくオススメのプリンを一口食べる。
‥あまっ。
口のなかに甘ったるいカラメルの味が広がって、
”あー、アイツ甘党なんだ‥…”
なんて、結局”かめなし”のコトばっか考えてしまう自分に気付く。
プリンを食べながら開いた携帯の待ち受け画面には
”21:50”
って表示されていた。
”かめなし”のバイトが終わるのを待つ。
もちろん約束なんかしてるワケもなくて―――
ただあいつのコトが気になったから。
寂しげな瞳が、虚ろに揺れるワケが知りたかった。
夜空には星がまばらに光っていたけど、
こんな俺が仰いだ空には、流れ星なんか見れそうになかった。
22:00ジャスト。
バイトを終えた”かめなし”が裏口から出てきて、俺と目があうなり気まずそうな顔をした。
「おつかれサマでした。」
にっと笑って”かめなし”の側まで歩いた。
突っ立つ”かめなし”の斜め後ろのごみ箱に、食べ終わったプリンの空容器を入れたビニールを口をしばって捨てた。
「…バイト終わる時間、お前知ってたの?」
あ。
やっと俺の目みた……
ヤバイ。うれしい。
「ん、これ見て大体は」
入口のドアに貼られた『アルバイト募集』の紙には、シフト制の時間帯がしっかり記入されていた。
「…ああ、なるほど。お前って、いろいろよく見てんだな」
そう言って、静かに”かめなし”は笑った。
ヤバイ。
ヤバイ。
なんか胸がキュッ、ってなる。
「イイトコいかねえ?」
唐突な誘いに”かめなし”は言葉もでないって感じだったけど、お構いないなしにその手をひいた。
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