Lucky,

2/3
998人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
陽が沈むのが遅くなったっつっても、さすがにもうこの時間じゃ辺りは真っ暗だ。 開いた携帯のディスプレーの光がやたら眩しい。 時刻は、午後8時。 更衣(ころもがえ)も終わって学校指定のカッターシャツで日々を過ごす。 ”ビール切れてた~! ツマミもテキトーによろしくッッ☆” うわっ、ぴぃのヤツ…… 「ぜってー確信犯じゃね?」 ひとりボソッと呟いて、空しくも”了解”の文字でメールを送信する。 パチンと携帯をとじて腰履きズボンの制服のポケットに突っ込んだ。 コンビニに入って一直線に奥の酒コーナーに足を運ぶ。 バコン、って冷蔵扉を開けて缶ビール2本を取り出す。とりあえず、500ミリなら足りるはず。 あんま飲んでも後がめんどくせーし。 最近のぴぃは酔いぐせ悪くて、飲むと絡み酒になる。 今日は缶ビール1本ずつってことで。 缶ビール片手にツマミの置いてある棚を物色する。食い物選ぶの得意じゃねえから困るけど。 …スルメと柿ピーでいっか。 手にした缶ビールとツマミをレジに持って……。 って。ここで重大事。 だめじゃん、俺! 今日制服着てっし!! やあっぱマズイよな? これじゃ酒買えねえだろ。 ぴぃに来させるか…… はあっ、てため息ついてポケットにしまった携帯を取り出そうと、両手にもった食い物やらを片手に収めようとした瞬間――― カション、カション!!! 「―――?!」 見事に腕からダイブした缶ビールたちがド派手な音を立てて床を転がった。 何とか死守したツマミの袋をかかえながら転がっていった缶ビールを拾う。 ああ…もう何だってんだよ! 自棄になりながら、もう1本の缶を追う。 カラカラと情けなく床を転がる音がぴたりと止んで、頭上から声がした。 .
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!