アイ ニード ザ サン

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こんなに放課後が待ち遠しいと思ったのは、小学生のころ学校帰りに親父と待ち合わせしたとき以来な気がする。 あのときは親父が俺の誕生日プレゼントにゲーム機買ってやるって、デパートに連れてかれたんだっけ。 デパートまでの道中に『ソフトも一個買ってやるからな』って親父の言葉に手放しで喜んで。 なあ、親父――‥ いま冷静に考えたら、ゲーム機だけあってもダメじゃね?(笑) 緩んだ口許に手を宛てて、咳ばらいのフリしてごまかした。 なんか、あのときのワクワクした気持ちと似てんだよな。 ”知らないモノを手にする感覚―――‥” ‥はやく話したい。 もっと知りたい。 知らないコトばかりのアイツの中身。 あぁ~~も、チャイムなれよっ!!! 「なあ、今日じんのヤツえらい浮かれてへん?」 「‥……‥しらない。」 「それでお前は朝からそんなやし。ぴぃどうしてん?」 「べつに。何にもないよ。亮ちゃんには関係ないコト」 「ヘソ曲がりな‥…」 「そ。ってゆー訳で、俺機嫌悪いから何するかわかんないから」 「はあぁ?!おいっ、ぴぃっ――!」 キーンコーンカーンコーン… 「っしゃ、お先ぃっ!!!」 特に誰に向けた訳でもなく言い放って下駄箱までダッシュした。 廊下側の席のぴぃが教室を真っ先に出ていたのを、声も掛けずに追い越した。 「―――…‥、」 ――? 追い越してすぐにぴぃがなんか言ってた気がしたけど、振り返るのも気まずくてそのまま走り抜いた。 上履きを下駄箱に放り込んで、履き潰したかかとのローファーを取り出した。 昇降口を抜ける一歩手前でふと気付く。 そういえば、ぴぃ一人だった‥? 亮ちゃんと帰らねーの? 今朝になっても変わらなかったぴぃの態度がいまさら気になるものの、やっぱり優先したのはアイツの方だった。 .
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