998人が本棚に入れています
本棚に追加
「いらっしゃいませー…‥ぁ。」
”かめなし”の事務的な声にわざと素っ気ない風に小さく手を上げた。
「よぅ。久しぶり」
「‥…昨日会ったし、」
やっぱり律儀だ。(笑)
「あ。覚えてんだ、俺のこと?」
「忘れないだろ、昨日の今日じゃ」
そーか?
俺はお前じゃなきゃコンビニの店員なんか覚えないけど。
”かめなし”はテキパキした感じで足元に置いた籠に古い弁当を入れていく。
代わりに新しい日付のを補充して、一つひとつ棚にキレイに並べた。
きっちりしてんなー。
「なあA型?」
弁当の棚の隣にあるデザートコーナーに並べられたプリンを手に取りながら”かめなし”に聞く。
「…B型。文句あるか」
「っぇえマジで?!あー‥でも、Bっぽい!(笑)」
「何だよ、Bっぽいって」
入れ替えた弁当の籠を持ちながら”かめなし”はまた一瞬だけ笑った。
あ、って俺の持ってるプリンを指差しながら、
「それ。オススメ」
って一言残してレジの方に歩いて行った。
”かめなし”がカウンターに入ると、ちょうど客が一人レジに向かって。
俺と話しながらちゃんと店の状況把握してたんだって、なんか尊敬した。
すげーな、あいつ。
真面目に働いてるあいつのジャマは出来ねーし、プリン買って大人しく待ち伏せでもするか。
よし、とレジに向かった俺の視界に、一つの人影が映った。
.
最初のコメントを投稿しよう!