アイ ニード ザ サン

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「いらっしゃいませー…‥ぁ。」 ”かめなし”の事務的な声にわざと素っ気ない風に小さく手を上げた。 「よぅ。久しぶり」 「‥…昨日会ったし、」 やっぱり律儀だ。(笑) 「あ。覚えてんだ、俺のこと?」 「忘れないだろ、昨日の今日じゃ」 そーか? 俺はお前じゃなきゃコンビニの店員なんか覚えないけど。 ”かめなし”はテキパキした感じで足元に置いた籠に古い弁当を入れていく。 代わりに新しい日付のを補充して、一つひとつ棚にキレイに並べた。 きっちりしてんなー。 「なあA型?」 弁当の棚の隣にあるデザートコーナーに並べられたプリンを手に取りながら”かめなし”に聞く。 「…B型。文句あるか」 「っぇえマジで?!あー‥でも、Bっぽい!(笑)」 「何だよ、Bっぽいって」 入れ替えた弁当の籠を持ちながら”かめなし”はまた一瞬だけ笑った。 あ、って俺の持ってるプリンを指差しながら、 「それ。オススメ」 って一言残してレジの方に歩いて行った。 ”かめなし”がカウンターに入ると、ちょうど客が一人レジに向かって。 俺と話しながらちゃんと店の状況把握してたんだって、なんか尊敬した。 すげーな、あいつ。 真面目に働いてるあいつのジャマは出来ねーし、プリン買って大人しく待ち伏せでもするか。 よし、とレジに向かった俺の視界に、一つの人影が映った。 .
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