宣戦布告

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「ハナってさ、何か最近ウザくない?」 高校2年の春、トイレに入ると同時に耳に飛び込んできたのは、私の悪口。 「あははっ」 笑えた。 私の乾いた笑い声で、顔をひきつらせるクラスメイトが3人。 この気まずい感じが堪らなく嫌。中学時代を思い出す。 だけど私は、良くも悪くも変わった。 ストレートの髪を指先にぐるぐる巻き付けながら、ゆっくりと私の悪口を言ったユウナの前まで行く。 「じゃあ、直接言えば?」 そう言って、また笑えた。 ニヤニヤしてたら気持ち悪いよね、急いで睨む私。下を向いたままの3人。 この空間だけ時間が止まったって錯覚する、固まった4人と気まずい空気。 逃げ出したくて堪らないのをグッと堪える。 ユウナも、このトイレの鏡も窓も、この空間全てに腹が立つ。
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