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ユウナは暫くしてから、一歩前に出て私を睨み返してくる。
あ、やっと目が合った。他の2人は下を向いたままだけど。
そもそも、どうしてこんな状況になったんだろう。
色々考えようとしたけど、頭が上手く回らない。
大口叩いてはみたけど、気を抜けば震えだしそうな足に力を入れるので精一杯だった。
「ハナはワガママだよ。物凄く、自己中。
正直、迷惑してるんだよね」
ユウナはゆっくり、ハッキリ言い終えて一瞬だけ目を逸らしたが、またすぐに睨み返してくる。
それを見て、ユウナだって強がっているのかもってなんとなく感じた。
私と一緒なのかも、負けたくないから必死に頑張っているのかも、って。
なんだかそれが酷く滑稽で、一気に力が抜ける。
「じゃあ仕方ないよね、うん。友達辞めよー」
そう言って個室に入った私。
元はといえば、漏れそうだったんだ。
逃げた訳じゃ無い。
気丈に振る舞う私、格好いい。
「はあ!?喜んで!」
━━━━ガンッ
優奈の叫ぶ声と、トイレのドアが蹴られた音が同時に聞こえて、ビクッと体が反応してしまう。
恐い恐い恐い!それ恐いから!
だけどそんな自分を悟られたくなくて、
「はあーい」
って陽気に返事をしておく。
個室に入ってて良かったあ。
ギリギリ漏れなかったところを褒めてあげたい。
これは高校生活初めての宣戦布告だ。
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