女神リューネの恋

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 「私の愛する人を救いたいのです。星の川の水を私にください。ほんの少しで構わないんです」  ウルラスは言いました。  「私の一存で決められることではない。我々神の王であるリュオン様に許可を貰うと良い」  リューネはリュオンに会うために王の城へ行きました。  「私の愛する人の命を助けたいのです。どうか、星の川の水を分けてください。コップ一杯で構わないのです」  リュオンは女神に問います。  「本当に心から愛しているのか?」  星の川の水は神の水であり、命の水。いくら川の流れを司る女神の頼みと言えど、そう簡単に持ち出しを許すわけにはいきません。それも人間の男のためだと言うならばなおさらです。  そもそも、神が人間を愛すること自体が好まいことではありませんから、リュオンは彼女の気持ちが真のものであるかを確かめなければなりませんでした。  リューネは答えました。  「はい、私はあの人を心から愛しています。あの人を亡くしたら、私は生きては行けません」  真剣に答える彼女の曇りのない真っすぐな瞳を見てリューネの想いの強さを知ったリュオンは頷きます。  「そうか。ならば水を持って行くが良い」  「ありがとうございます」  ようやく、川の水をもらう許可をもらったはリューネは急いで星の川へ戻るとコップ一杯、星の川の水を汲んで地上へ降りて行きました。  しかし、女神が地上へ降りた時、そこでは男の葬儀が行われている最中でした。彼女が星の川の水を分けてもらうために神々の間を回っている間に彼女の愛した男は病で息を引き取っていたのです。リューネは悲しみ、神殿に閉じ籠ってしまいました。川の流れを支配する女神が閉じ籠ってしまったから大変です。  星の川を始め、地上も神の世界も関係なく川と言う川の流れは荒れてしまいました。
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