24人が本棚に入れています
本棚に追加
「はい。出来ましたよ!早く座ってください」
彼は料理をテーブルへと運び、私を席に座らせる。
「はい。いただきます」
「体調が悪そうでしたから、軽いものにしてみました。食べてみてください」
そして私は、彼が作ったお粥を口に入れた。
―――まぁ、男の人にしては上手だけど私の方がもっと美味しく……
ふと見ると、彼は私の食べる顔をまじまじと見つめている。
私は失礼な人だと思いながら彼に尋ねてみた。
「……どうしたんですか?」
「味……はどうかなって……」
―――ああ、それが聞きたかったのか……
「ええ、美味しいですよ。ありがとうございます」
彼はその言葉を聞き、明るい表情を浮かべる。
「それはよかった。……もし、不味いなんて言われたらどうしようかと思いましたよ」
私はあることを思い出し、話題を変えた。
「……ところで、父の遺言のことなんですが……そろそろお話ししていただきたいです……」
私は気になっていたことを尋ねる。
彼は先ほどの表情とは一変し、真面目な表情へと変わっていた。
「そうでしたね。……憐香さんもさっきよりかは大丈夫そうなんで、お話ししてもいいでしょう……」
私は彼の言葉に頷き、話しを求める。
「……父は最後になんて言っていたんですか?」
そして彼は語り始めた。
最初のコメントを投稿しよう!