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「それは大丈夫です。……確かに一緒にいた方が監視がしやすいですが、それは憐香さんが嫌がると思ったので、近くの公園にテントを張っておきました。これならもしもの時に、すぐにでも駆けつけられますからね」
「……はぁ?」
―――私の聞き間違いだろうか?今西都さんが公園でテントを張っているって……
私は西都さんの話しが信じられず、確認してみる。
「えっと……私の聞き間違いだと思うんですけど、今公園って……」
「ええ、近くに銭湯もあるんですよ。公園も綺麗ですしね」
―――この人は、ただの馬鹿なのだろうか……
いくら公園が整備されているからといっても、公園にテント張るのはこの人ぐらいだろう。私は半ば呆れながら言う。
「……もういいです。分かりました。好きにしてください……」
もう彼の好きにさせよう。多分、何を言っても聞かないだろうから。
「よかったです。それじゃあ毎朝僕が食事を作りに来ますね」
「……何故そうなるんですか?」
私は頭を抱えながらため息をついた。
「……食事くらい自分で作れます……」
「……来月に就職試験があるんですよね?大丈夫何ですか?」
「……あっ」
私はそれを聞き、体が硬直してしまった。
「いや、別に憐香さんが大丈夫ならそれで構わないですけど、夜遅くまで勉強していたら、朝は辛いかなって思いまして……」
そうだった。お父さんが死んで忘れていたけど、就職試験が控えていたんだった。
「……わかりました。お願いします……」
私は彼の提案に了承した。
「じゃあ、明日からここに通いますね!」
―――あぁ、本当にとんでもないことになってしまったな……
そして私と西都さんの日々は始まっていった。
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