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「えっと……部屋はどこでしょうか?」
彼は私の部屋が分からないようで、周りをキョロキョロしながら問いかける。
「二階の一番奥の部屋です……」
私は何故かお姫様抱っこされながら彼に部屋まで連れられる。
―――なんか凄く恥ずかしいな……
「ここですか?」
彼は私の部屋の前まで行き着き、私に確認する。
「ええ、ありがとうございます」
そして部屋の中に入り、ベッドの上に降ろされる。
「すいません……せっかく来てもらったのに……」
私がそう言うと彼は微笑んで言った。
「気にしていませんよ。これが私の役目なんですから」
私はその笑顔を見て涙が溢れてくる。
お父さんが死んで、私は誰かに側にいて欲しかったのかもしれない。
私が泣いていれば、もしかするとお父さんが帰ってきて慰めてくれるかもしれないと、けして有り得ない期待をしていた。
でも、それはもう望んではいけないことだよね?
だから私はお父さんに別れを心の中で告げる。
―――さようなら。お父さん……
そして私は眠りに落ちていった。
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