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「お前が彼女と過ごしながら、それを決めるんだろ?だったら俺から言うことなんてない。それに……お前には好きなことをさせてやりたい」
重治さんは背を向け、僕に対して優しい言葉をくれた。
「ありがとうございます。……それじゃあ、僕は行きますね」
もう、重治さんとは会えないだろうと思いながら、ドアに手をかけた。
「紅月!」
重治さんは怒鳴るように声を上げ、僕の名前を呼んだ。
「俺個人としては……」
重治さんの声は震え、最後の言葉を精一杯に発しようとしている。
「お前に……生きてほしい」
僕はその言葉に涙が溢れそうになったが、それを堪えながら感謝の気持ちを伝えた。
「……ありがとうございます。……重治さん」
僕はそれだけを言うのが限界だった。
こうして軍を止め、重治さんと別れを告げた後に、僕は誓いを果たすために黒条さんの娘さんの住む町まで向かった。
………
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